射こなす

「弓道辞典(道鎮 実[どうちん みのる]著)」によると、弓を「射こなす」とは、以下の通りに説明されています。

「弓を意のままに御して(制御して)射ること。これには弓力が、射手の全引力の2分の1に相当する弓を使用すれば、十分に射こなすことが出来るのである。」

つまり、自身の引き矢尺で15㎏の弓を引きこなすためには、15㎏の弓を2張同時に肩入れできることが基準になりますが、これは日置流の伝統の教えにおいても、目安とされています。

弓の力が強く、かつ太く重い矢を使用すると矢がまっすぐ飛びやすく的中しやすくなることがありますが、弓の力が射手の押し開く力より強すぎると力を等分に働かすことができず、射型を整えられないと、浦上栄先生の指導においても、宮田純治は自身の射手としての力以上の弓力の弓を引くことを、厳しく戒められました。

宮田純治は、最終的に強弓を自由に射こなすようになるまでになりましたが、基本の射が習熟するまで、弓力の弱い弓で十分な指導を受けながら、十分な量の稽古を積んでいます。弓を射こなす為に、弓力の選定は古来の基準に照らして選ぶのも、弓を自在に射こなす為の、一つの選択肢になると思います。